「感情」の背後にある欲求を探る

ひとりごと

相手が感情的になっているときは、その「感情への対処」が最優先事項になります。
相手の感情の後ろにある「欲求」に着目し、その欲求を満たす手立ては何かを探り、ときには相手が求める情報を与えましょう。

人は「つながりを断たれる」と怒る

相手が怒っているときには対処が必要です。しかし、どうして怒っているのかわからないと的外れな対処になってしまいます。
表面的な怒りだけではなく、「根本的な問題」を探る必要があります。
だまされて怒っている人は、お金をとられたという点以外に、「相手とのつながりが断たれたこと」にショックを受けていることが多いです。
あるケースでは、次男が「亡くなった父が遺言で長男にだけ財産を渡した」と怒っていました。怒りの理由は、「自分の取り分がない」という点以外に、「知らないところで想像が進められていた」ことに怒っている場合が多いのです。
これらの怒りの背後には、「相手とつながっていたい」という欲求や、「自分もプロセスに加わりたい」という欲求があります。本当の意味で怒りを鎮めるためには、落ち着かせるだけでなく、これらの欲求を満たしてあげる必要があります。

「騎士」に恥を書かせてはならない

あるひったくり事件お刑事弁護人として示談交渉をしていたときのことです。
交渉相手の被害者は二十代前半の女性。交渉場所に行ってみると、交際相手の男性が同席していました。
交渉の場で、被害を受けたことについて、加害者に対する怒りを露わにするのは、ほとんどがその男性。被害女性はめったに口を開きません。
彼は言います。「事件後、彼女を一人で歩かせられないから、僕が送り迎えしてるんですよ」
彼は、弱い彼女を守る「騎士」という役割で交渉に来ているようでした。
彼女の財産や身体を侵害されたことを怒っているだけではなく、「交際相手という役割を果たしたい」という欲求が見られました。
そんな彼が続けてこう言います。
「僕も知り合いに法律家がいましてね。聞いて来ましたよ。このケースでは✖️✖️✖️だそうじゃないですか」その内容が、法的には完全に間違っていました。
しかし、その場で間違いを指摘しては彼の役割を害することになります。騎士が格好悪いところを見せてはいけません。
「なるほど。法律家のお知り合いがいらしゃるんですね。それは彼女としても、いっそう心強いでしょう。ご指摘の点はこちらで検討しましょう」と後回しにして話を進め、彼女が席を外したときに、こっそり指摘しておきます。
彼の役割を尊重して交渉を続けた結果、最終的には彼自身が、「先生がここまで言ってくれてるんだから、話をまとめようよ」と被害女性を積極的に説得してくれました。
彼の「役割を果たしたい」という欲求を尊重した結果でしょう。

どんなに手強そうな相手も、なんらかの欲求で動いています。
相手の強い「キライ」感情が出てきたときには、感情の後ろにどのような欲求があるのか探ってみましょう。その欲求を満たすことが、キライ感情を解消することにつながります。


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